<090> 小学校入試の帰路で、顔を引きつらせている親は大勢いるよ

小学校入試の当日はとても緊張します。初めてのことですから当たり前ですよね。親は一生懸命に笑顔を作って、朝から子供を励ますでしょう。校門をくぐるときは、親の緊張はピークに達して、心臓の音が聞こえてきそうです。

さて、入試の帰り道では、どのような姿になっていると思いますか?

やっと終わったという安堵感で一杯でしょうか。きっと、そのような方もいらっしゃるでしょうね。出来る準備は全て行い、入試でも持ちうる全ての力を発揮したので、あとは運を天に任せるしかないという心境です。「よく頑張ったね」と、このように子供を誉めながら帰路につく親子もいらっしゃいます。

ところが、実際には、このような親子は少ないでしょう。多くの母親の顔は穏やかではありません。顔が引きつっている親もいます。茫然自失の親もいます。溜め息ばかりの親もいます。帰りの道すがら子供に説教をしている親もいるでしょう。駅まで腕をグイグイと引っ張って怒りを顕わにしている親もいます。

ペーパーが出来なかったからだと思いますか?

入試帰りの時点では、ペーパーの出来具合など親には判りません。「ペーパーはどうだった?」と訊いても、「うん、出来たよ」とか「難しいのもあったけれど頑張ったよ」としか答えないからです。ペーパーの持ち帰りもないので、これは最後まで判らずじまいでしょう。

それでは、なぜ多くの親の顔が引きつっているのでしょうか?

それは、子供の余りの不甲斐なさに驚いたからです。目つきも態度も、キリッとしているライバル達がいるのに、自分の子供は、歩き方からヘロヘロ、フニャフニャとしていて幼く、試験官に会っても頭を下げないどころか、それ以前の挨拶も出来ない。待合室でも落ち着きがなく、キョロキョロしたり、立ったり座ったりします。座る姿勢も悪く、頭はフラフラ、足はブラブラです。面接では、試験官の顔を見ずに、親の横顔ばかりを見ていて、話を聞いていなかったりします。知らないことを訊かれたら、黙り込んでしまったり、親の袖をひっぱたりする。質問に答えても、蚊の泣くような声で聞き取れない。また、親に小さな声で、「もう終わり?」とか「まだやるの?」「早く帰りたい」とか言ってしまうのです。

ここまで読んで、とんでもない子供だと思いましたか?

いや、実は普通なのです。特別なお子さんではありません。幼稚園や保育園の世界と自宅との往復の毎日だったら、これが世間一般の年長さんの「普通の姿」なのです。

キリッと締まった顔で、スマートに歩いて、丁重にお辞儀をしながらご挨拶をして、背筋を伸ばして姿勢よく座り、その時の手は決まった所に置き、しっかりと相手の目を見ながら綺麗な言葉で話し、きちんとお礼を述べる・・・このようなお子さんを入試当日に垣間見て、今まで自分は一体何をしてきたのだろうと情けなくなるのです。

それなりの家柄のお子さんは、最初から出来ています。親が私立小学校のご出身の場合は、その辺は心得ているので、入試の当日には、完璧に仕上げて来るのです。(エスポワールを支えて頂いている保護者の方に、私立小のご出身者が多いのは、その為です)

ペーパー教室のオマケ講座のような「行動観察」と「躾指導」で安心していたら、名門校や競争率が高い学校ほど、我が子との差に驚かされることでしょう。

※過去記事の再掲載です(情報は古いです)

エスポワール らくらくさん