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ある年長のクラスで、上履きをはくのにえらく時間のかかるお子さんがいました。
「先生、どうしたら早く支度ができるようになるでしょう。いつも、このように遅いんです」・・・やっと危機感を持って下さいましたか・・・という感じでした。以前から、何度もお母様に注意はしていたのですが、靴を履くところから始まり、衣服の着脱、お道具の用意、トイレなど生活面のすべてにおいて信じられないほど時間が掛かっていました。
お帰りの時間でしたので、お子さんが靴を履いている頭上での会話です。私は「何でも自分でやらせるようにして下さい。」と申し上げました。基本的なことができないのは、過剰に大人の手助けがあるからに違いないと日頃からその親子を見て思っていたからです。すると「先生、家でも自分のことは自分でするようにさせているんですが、一向に早くならないんです。」と言いながら、お母様の手はリュック型のかばんを背負おうとしている子どもの背後からリュックの紐を持って肩にのせていました。すかさず「お母さん、その手ですよ。」と私が言っても、「えっ」とびっくりした様子で、自分が手助けしていることに気付いたのは5〜10秒経ってからのことでした。
何をするのも遅いという状況を作ってしまったのは、お母様なのです。そして、無意識に手を貸していることにすら気付いてはいませんでした。5歳という年齢になって、突然、「自分のことは自分でやりなさい。」と言われ、今まで自動的にできていたことを全部自分でしなければならない子どももかわいそうかもしれませんが、実は、それまでの無意識な習慣すべてを変えなければならない大人の方が、相当な努力が必要なのではないかと思います。
無意識に手を貸していること・・・ありませんか?
(エスポワール理事長:ウォーカー和子)
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