小学校受験はエスポワール

 

パパからの宿題

先日、息子がいきなり「お小遣いちょうだい」と言ったのでビックリしました。何しろ、まだ3歳なのであげるつもりはサラサラありません。この年頃になると何処で覚えたのか、突拍子もないことを言い出すので、いつも驚かされます。「お小遣い」なる言葉はテレビなのか、それとも誰が教えたのか未だに謎です。

世間では小学5年生から貰いはじめて千円位らしいです。私が小5の時は500円、小6で600円、中1で千円だったような気がするので、30年ちょっと経ってもお小遣い相場はそんなには変わっていないようです。

私自身は親から無条件で毎月一定額のお小遣いをもらっていたのですが、実際に親になってみると、決まった額のお小遣いが無条件で貰える習慣がどうも気に入らない。息子や娘には悪いけれど我が家では条件を付けます。支給は小学3年生の4月から高校3年生の3月までの10年間で計120回と決めました。条件とはパパから毎月宿題をもらい、それに答えること。金額は変動制なので「お見事、座布団10枚!」という答えがあった場合は世間相場に関わらずボーナスを支給するつもりです。

小学3年生から始まる第1回目の宿題は「1週間の予定を立てて忠実に実行すること」。

学生時代に家庭教師で数多くの子供たちを見てきましたが、難関中学に受かる子供に共通することは「いつも決まった時間に、決まった量の勉強をすること」です。逆に勉強ができない子供たちにはこの習慣がありません。小学校受験の世界でも週に1〜2時間だけ幼児教室で勉強する子供よりも、家庭学習で毎日2時間、週に10時間の勉強をする子供の方が学習時間に正比例して賢くなるのと同じ理屈です。我が家では小学1年から2年生までは親が週間予定表を作り、アシストしながら勉強をさせるつもりです。しかし、3年生になったら自分で計画を立てさせた上で、ママの承認を貰い、更にパパの決裁印を受けて、計画を遂行させます。この立案と実行の習慣が身につくと小学校の高学年から高校生になるまで成績のことで親が悩むことは皆無となります。

「ゲルマニウムラジオを自作せよ」
「工作用紙1枚でペーパープレーンを作りパパと滞空時間を勝負せよ」
「自作の和凧でパパと勝負せよ」

小学生の男の子なら、このような理科系の宿題は大好きかなと思います。私自身も科学雑誌「子供と科学」や「模型とラジオ」「初歩のラジオ」 に夢中になっていました。

「十五少年漂流記を読んでジャックの秘密をパパに教えなさい」
「坊っちゃんを読んで山嵐の性格を表している部分を探し出し、どのような性格なのか分析せよ」

単に本の感想文を書かせるよりもこの方が面白いと思います。

「今夏にパパのイギリス時代の同級生だったアラブ首長国連邦のイーハブさんが遊びに来ます。イーハブさんの国の基本会話50文を覚えなさい」

語学系の宿題も出します。小学生になっていることを想定した宿題ですが、息子はまだ3歳なので「サラマレコン(おはよう〜こんばんは)」と「ショクラン(ありがとう)」くらいは覚えさせるつもりです。

「上野の東京都美術館で開催中のオルセー美術館展を鑑賞して、印象に 残った絵画のポストカードを何点か売店で買い求め、それを選んだ理由を説明しなさい」

「歌舞伎座の四月大歌舞伎“中村錦之助襲名披露”の夜の部、第3幕を一幕見席のチケットで観劇し感想をパパに聞かせること」

「チャイコフスキー交響曲第6番“悲愴”を西本智実/ロシア・ボリショイ交響楽団(2002年)とカラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1971年)を聴き比べてその違いをパパに説明すること」

芸術系の宿題もあります。

「ドライブ中に潰れたガソリンスタンドを見かけるようになりました。ガソリンスタンドを廃業しなければならない理由を考えよ」

「新潟県の越後湯沢や苗場にある築15〜16年の中古リゾートマンションは100万円以下で買える物件が多数あります。なぜ、安いのかを考えよ」

「パパから5千万円を借りて事業を興すとしたら何をするか、事業計画書を提出しなさい」

「パンデミック後の預金貸金庫封鎖、新円切り替えの可能性を考えよ」

経済の宿題も面白そうです。

「パパは小学6年生の時に一度もお話ししたことのない隣のクラスの女の子にラブレターを書いたら『良いお友達でいましょう』というお返事をもらいました。さて、これはどのような意味でしょうか。また敗因を考えなさい」

「コミュニケーション、特に共通の話題なしには女心は掴めないと反省したパパがとった行動は何だと思うか考えなさい」

答えは当時の女の子の間で流行っていた少女漫画雑誌『りぼん』と『別冊マーガレット』を定期購読して共通の話題にしたこと。効果はてきめんだったけれど、正直に言うと本の虫だったのでマンガにはあまり興味はなく購読は半年で止めました。このような宿題を機に息子と恋愛談義ができればいいなと思います。

「もしも、裁判官になるにはどのような人生設計をすればよいか考えよ」
「もしも、警察庁長官になるには・・・」
「もしも、電通マンになるには・・・・・」
「もしも、日銀マンになるには・・・」
「もしも、商社マンになるには・・・」
「もしも、理研の研究者になるには・・・」
「もしも、N響の第1バイオリン奏者になるには・・・」
「もしも、映画監督になって金獅子賞を取るには・・・」
「もしも、直木賞を取るには・・・」
「もしも、国会議員になるには・・・」
「もしも、国際的な建築家になるには・・・」
「もしも、国連で働くには・・・」

現時点で、自分がなりたい職業が見つかっていなくても、この宿題を解くことによって、それぞれの職業を知るきっかけにもなり、また、希望通りに就くためには何処の大学の何の学部を出ることが最も有利なのか、その大学に入るのには何処の高校にいると近道なのか、その為に今は何をすべきかが、自ずと見えてくると思います。イメージが出来ているので「勉強しなさい」なんて言われなくても、行動ができる子になります。

「冤罪で警察に補導された場合にどうすればよいか」
「カルト教団の勧誘の手口を分析せよ」
「マルチ、ねずみ講の仕組みを解明せよ」
「繁華街にキャッチセールスが多い理由を考えよ」
「高利回り、低リスクの金融商品が存在するか調査せよ」
「イジメにあった場合に取るべき行動を考えよ」
「ギャンブルの仕組みと還元率を調査せよ」

免疫がないと落とし穴にはまりやすいので、ここでは身近なリスクを取り上げて、親子で徹底的に話し合うつもりです。

「毎週、パパがお花を買って帰る理由を考えよ」

リビングにお花があるとないとでは、お部屋の雰囲気が全く違うのが答えです。心がギスギスしないで誰にも優しくなれます。

高校生活最後の120回目の宿題は「今までの119回の宿題の中から特に印象に残ったトップ10を選んで感想を書きなさい」です。これで宿題を終わりにしようと思ったけれど、続きがあります。

−遺書(パパから愛する息子へ)−

「四谷で一人暮らしをしていた時にママがお嫁さんに来てくれました。これで一人から二人となりました。縁があって一緒になったので、パパはママを家族のメンバーとして、そして、ゲストとして辛い思いをさせないように気を配ってきました。やがて君が生まれました。君に出会えた時は本当に嬉しかったです。これで、ゲストがもう一人増えて三人家族となりました。パパは常に君を自分の子供ではなく、神様から預かっているという気持ちで育ててきたつもりです。そして、君の妹が誕生して四人家族となりました。パパが腐心したのは、どうしたら笑いの絶えない家庭を作るかということです。笑いの絶えない家族はパパにとっても居心地が良いし、皆が幸せに感じるでしょ。

しかし、残念なことにパパの家族は永遠ではなく有限だったのです。一人から二人、二人から三人、四人と増えたけれど、パパが抜けて三人になってしまいました。やがて、時が経てばママも抜けるでしょう。次は君が創った家族が有限の時を刻む番です。

パパの人生は今日で終わりました。冷たくなって返事もしないパパの姿を見て悲んでいるかな。何でもっと生きてくれないんだと不条理さを感じていることでしょう。この先、葬儀と告別式が終わって荼毘に付されたパパの小さくなった遺骨を見て、人の一生のはかなさを痛感するかもしれない。パパは喪主として君のお爺ちゃんの遺骨を拾ったときに、人生観が変わったのを覚えています。これから先の人生は仕事中心よりも家族中心で生きようってね。より一層、家族を大切にしようと。

何故なら、家族が揃っている時間は自分が考えているよりも短いんだなって。

パパからの宿題は高校3年生で終わったけれど、最後に1問だけ出すよ。121問目の宿題は「君はどんな家族を作るのか」だ。答えを墓前で報告しておくれ。

パパはママに出会えて、君に出会えて、そして君の妹に出会えて最高に幸せでした。短い時間だったけれど四人が一緒の時間を共有できたことを心から感謝しています。

パパは誰も見たことがない、あの世というものが存在することをこれっぽっちも信じていないけれど、もしも、そんな世界があったとしたら、122問目の宿題を作って君が来て解いてくれるのを待っている。

君のことを心から愛しているよ。じゃあね。

(メルマガ担当:上田トモヤ)



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