<048> 小学校入試の受験勉強ができる子供のタイプを教えます(その1)

最近、あるお教室についてのメールが届きました。メルマガの読者からですが、その方が通っていた幼児教室から志望校に推薦状を出してもらったのに関わらず不合格になったというものでした。

学校は出題する側であり、お教室はある意味で攻略する側という対極の関係にあります。そのお教室の推薦状にどのような価値があるのでしょうか。夏期講習、直前講習と連続して受講しなければ推薦状を書かないと言ってはばからないお教室もあると聞きます。

更におかしな事に推薦状はお教室から学校に直送したとのことです。常識的に考えれば推薦状は推薦された人が持参もしくは郵送するものです。当事者でもない赤の他人である推薦人が学校に直送するものではありません。こればかりは本当に出したのか確かめようもありません。

お教室に小学校の校長先生などが説明会を開きに来ますが、これをもってお教室と学校が蜜月の関係にあると勘違いする可能性もあります。学校はお教室が開催する説明会には積極的に参加するものです。エスポワールにも各小学校の営業担当(入試担当ですね)の職員が「貴教室での説明会には校長を出席させます」など、とても熱心にアプローチしてきます。資料やポスターなどは頼まなくてもどっさり送ってきます。しかし、関係はここまでで、それ以上でも、それ以下でもありません。

AO入試の学校などは推薦人が必要なところもありますが、仮に推薦人制度のない学校に無理にでも推薦状を使いたいのなら、志望校の理事長や校長が頭の上がらない、もしくは一目置かなければならない、力関係で勝る人を探さない限り、出さない方がマシです。

さて、今日のお題はここからです。

今日は幼稚園受験から小学校受験、そして中学校を受験する子供たちにも共通する話題です。

いわゆる、勉強ができると言われている子供たちがいます。手がかからず、周りのお母様から羨望の眼差しで見られる子供です。勉強ができるという理由だけで合格できるのは偏差値勝負の中学受験以上で、一定レベル以上の子供の中から選り好みで選ぶ幼稚園や小学校受験には当てはまらないかもしれません。しかし、ある程度の勉強をしなければ一定レベルさえ届かないのも事実です。

現場で観察する限り、手がかからず、放っておいても受験というものに合格するタイプには次の2つのタイプ以外は考えられません。過去のメルマガで紹介した見方と違い、今回は気質別に分類しました。

<1>負けず嫌いな子・勝ち気な子

小学校受験や中学校受験において難関校に合格する最たるタイプです。ちょっとしたモチベーションさえ与え続ければ、その後は勉強し続けます。何でも知りたがり、容易に知識を吸収するので、知能指数も高くなります。頭の回転も速いです。但し、興味が違う方向に向いた場合は受験に対してマイナス要因となります。

<2>コツコツタイプ・完璧主義者

いつも決まった時間に決まった問題集を広げて、親に言われたままコツコツ勉強します。勉強を楽しむよりも、決まった時間に決まったことをすることに喜びを感じます。地味な子供が多く、頭の回転が速い子は少ないです。飽きもせず、嫌がらずに続けるので、結果的に学習時間が多くなって成績が上昇します。

高校や大学受験では、恋人と同じ学校に絶対に行く、あこがれの学校に入るなど、本人の確固たる目標に向かって努力をすることができますが、小学校や中学校受験では本人の精神力が幼いので目標だけに向かって突っ走ることはできません。その為に、必然的に上記の2タイプの子供が目立って勉強ができてしまうのです。彼らは受験を突破するという努力目標がなくても、累積学習時間が増えているからです。

その他大勢の子が、それなりに勉強ができるようになるには、上の2タイプの子供のように変えるしかありません。負けても平気でいられる子供を負けず嫌いな子供に変えることは、性格を変えることなので難しいです。それに、負けず嫌いが美徳であると考えている親御さんも少ないはずです。争いごとの嫌いな子供に幼い頃から勝ち負けにこだわらせるのもいけません。

エスポワールの授業でも健全な精神育成の一環として、個人戦やグループ対抗戦はありますが、それは勝ち組が善であり、負け組を悪とするのではなく、より頑張ったチームの頑張り部分を誉めて、負けたチームも相手の頑張りを褒め称えるという指導です。勿論、巧緻性や指示行動のゲームであり、プライドが傷つくお勉強の優劣は競いません。

授業で<頑張れば勝つ>=<頑張りを誉められる>を繰り返し子供たちの無意識層に植え付けることにより、擬似的な負けず嫌い効果を出すことができます。これはエスポワールの奥義の一つです。エスポワールで小学校受験に成功しても、仮に失敗したとしても、人生の中でいつかは必ず勝者になる指導だと思っています。<頑張れば勝つ>=<頑張りを誉められる>が脳裏に定着すると勉強で頑張った時に誉めれば、また頑張りを誉められたくて勉強します。この指導法はご家庭でも応用できるものです。

また、合格する2番目のタイプであるコツコツ型にするのも至難の業です。そもそもコツコツタイプが良いか悪いかはそれぞれの親の価値観で変わります。コツコツ努力をせずに天才的なひらめきだけで大成功している人も少なくはありません。しかし、世の中で受験と名の付くものは、ひたむきなコツコツした努力なしに突破できるものではないのは皆さんもご存じのはずです。

この地味な作業が好きな人がいます。これは生まれながらに与えられた性格なので仕方がありません。他の人が無理にまねても、山伏の荒行のようで、ただ辛く苦しいだけです。このメルマガを読んでいる皆さんも数々の受験を経験したと思います。記憶を遡れば、小学校のテストは授業を聞いているだけで解けたとしても、中学1年生の1学期の中間テストからコツコツとした努力が強いられたはずです。中学生以降はそれなりに精神構造は大人になっているので、何のために努力をしなければならないのか、また、その結果がどのようになるのかが判断できます。判断できるからこそ、何をどのようにすべきか理解でき、そして行動することができます。

大人とは喉元を過ぎれば勝手なもので、小学校受験だからと言うことで、何も判断できない幼い子供にこの難行苦行を与えます。小学校受験経験のない親は、コツコツした努力は中学1年生である13才過ぎに嫌々始めたはずなのに、自分の子供には更に9年も早い4才から押しつけようとしています。子供が勉強好きなら結構だけれど、判断できない幼い子に嫌々させるのなら、それは鬼畜の所業です。

しかし、大人にもサドのタイプやマゾのタイプがいるように、子供にも両タイプがいます。マゾ系は強いられても案外と従順なので、命令されるまま苦とも思わずに勉強します。決まった時間に決まったことをすることに喜びを感じる本来のコツコツタイプではありませんが、このマゾ系コツコツタイプも学習時間が多いので、合格しやすい上記のタイプに準じます。

マゾ系タイプ以外の子供に押しつける勉強こそが難行苦行になります。嫌がる子供にコツコツを強いると、将来は次のような不幸な結末になります。

イヤイヤ学習する。これは叱られることを回避するための行動です。これを発達心理学では「嫌子の除去」と呼びます。幼心に嫌だけれど、勉強さえすれば母親に叱らずに済むので従います。これは心理的に不快感情を伴いますので、繰り返すことにより、<勉強>=<不快>が脳裏に強く定着します。幼児は脳の発育が未熟なので、この不快感情はトラウマとなります。

勉強が不快なものであるという不快感情は中学生になっても、高校生になっても消えません。中間テストや期末テストの勉強も脳裏に不快感情が残るので、他の人に比べて能率は落ちるでしょう。このような親に育てられた子は大学までのエスカレーター式の学校に入ればトラウマの影響は少なくて済みますが、小学校受験に不合格だったり、高校までの私立に入学した場合は、再び大きな受験の壁が立ちはだかるので、子供は<勉強>=<不快>というトラウマと戦って生きていくことになります。

それでは最善の方法は何かということですが、既に超長文となりましたので次号に続きます。お楽しみに。

※過去記事の再掲載です(情報は古いです)

エスポワール らくらくさん