小学校受験はエスポワール

 

早期教育を考える

一部の入園試験や小学校入試で、誰よりも早い受験番号を取る為に早朝から順番待ちをする方がいます。早朝どころか徹夜もありの園や学校があると聞きます。

この方々は何故早朝から並ばれるのでしょう。並ぶ理由は二つあると思います。一つは「その園(または小学校)にどうしても入りたいという強い熱意があることを行動で示すため」です。もう一つは「例年、早い受験番号の方に合格者が多い傾向がある」という理由からです。

私は、先着順で受験番号が決まる園や学校で、早い番号が合格しやすいのは事実だと理解しています。理由は以下の通りです。

(1)早朝から並ばれる方ほど、その園や学校を本命としている方が圧倒的に多いからです。しかも、傾向と対策に手抜かりはありません。また、どのような子供を求めているかを理解し、それに合わせて数年がかりで我が子を教育した強者揃いだからです。試験の傾向と対策はパーフェクトな集団なので相対的に合格者が多く集まるのは必然です。

エスポワールの秋の新学期入室試験でも、入室試験を待ってましたとばかり、真っ先に応募してきた順に、このメルマガを書いている私以上にエスポワールのことを知り尽くし、エスポワールがどのような母子を求めているかを理解している保護者の方が多いです。傾向と対策は完璧なので応募が早い順に入室試験での合格率は高くなります。

(2)個別試験や面接は順番が早いほど甘くなる傾向があります。教育者なので基本的に子供が好きです。早い順番の頃は、質問して答えられなくても幾つかのヒントを与えたり、しどろもどろで答えても「良くできたね」と努力を評価したりする心の余裕があります。しかし、同じ試験や質問を退屈するくらいに何度も繰り返していると、テキパキと完璧に受け答えする子供が楽チンに思えて、逆にノロノロしている子供はイライラするほど鬱陶しく思えてきます。その為、手のかからない優秀な子供以外の採点は時間の経過とともに厳しくなる傾向があります。

勿論、優秀な子供は受験番号が遅くても、個別試験や面接の順番が遅くても合格します。ただ単に準備も不十分に早朝から並んだだけでは高い合格者出現率にあやかれるワケではありません。

さて、今日のお題はこれからです。

先週の土曜日午後9時にたまたまNHK教育テレビ「すくすく子育て」を観ていたら、テーマは『赤ちゃんの脳は3歳までに決まってしまうのでしょうか?』『習い事は早くから始めた方がいいの?』でした。

科学技術振興機構の小泉さんは「脳の基盤作りである3歳までに詰め込みすぎると、後々弊害が出るということが、最新の脳科学の研究で明らかになってきた」と言っていました。

この番組では幼児の英語教育についても「英語よりも日本語での思考力を確立させることが先決で、取り敢えずやっておこうと思う程度ならやめた方がよい」というのが結論でした。

ふむふむと感心していたら、その二日後の17日(月曜日)の朝日新聞朝刊に『早期教育は必要?』という特集がありました。ノーベル賞の小柴東京大学名誉教授は「幼児期は早期教育に躍起になる親が多いけれど、幼児期はしつけが大切で、記憶力が良くなるのは小学校高学年からなので、その時期に外国語や数学などをどんどん吸収したらいい」とのこと。対する祖川(そがわ)幼児教育センターの祖川先生は「実際、大半のお子さんは教室で学んでからIQが伸びています」とのことです。

私個人は早期教育にはやや否定的です。幼児期の脳は発達段階にあるので、その時期その時でないと発達途上ゆえに理解できない概念が数多くあります。それを前倒しに教えても脳が物理的に受け付けません。

また、概念とは別に単なる“知識”なら脳が発達途上にあっても覚えることは可能です。例えば、世界の国旗などを覚えている幼児はいることでしょう。幼児に物知り博士はたくさんいます。私が思うに物知り博士は天才ではありません。たまたま他のお子様よりも数年、若しくは数ヶ月だけ、先駆けて覚えただけに過ぎないのです。

ちょうど日曜日の在宅中にインターホンが鳴ったので出たら、幼児教育教材の営業さんでした。興味がなかったのでオートロックは開けなかったのですが、「貴方のお子さんも、必ずIQが200になる」と訴えていました。

IQとは皆さんもご存じの通り、知能指数です。

知能指数は(精神年齢/生活年齢×100)で求めることができます。精神年齢とありますが知能年齢、生活年齢を実年齢と読み替えてください。3歳児の最年少がテストを受けたら、3学年上の年長さんと同じ6歳平均のスコアを出したら、6/3×100=200でIQ200となります。私はこの世界に長くいますが、このようなことはあり得ません。

もしも、故意に概念系を除いた、知識系だけの私製知能テストを業者が作成したとしたら、あり得ないIQ200も出現する可能性があります。例えば、世界の国旗50カ国というテストだったら、6歳の年長さんにも解けませんが、事前にトレーニングした3歳児なら解ける可能性はあります。ちなみに、日本で有名な知能指数検査はビネー式の「田中ビネー式」(2歳〜成人)「幼少研式辰見ビネー」(3歳〜8歳)、ウェクスラー式の「WPPSI」(3歳10ヶ月〜7歳1ヶ月)「WISC」などがあります。

知能指数はその時点(歳)のものであり、固定されるのもではありません。3歳で4歳児平均のスコア(IQ133)を出しても、その子が4歳になったときに4歳児平均のスコア(IQ100)しか出せない場合があります。幼児期の知能指数ほど、天才を測る物差しではなく、人よりも余計に知っているだけに過ぎません。しかし、幼児ゆえに他人もいずれ知るのです。そのときは相対的に凡人となります。

受験と早期教育に関しては、幼稚園受験なら基本的に「不要」と考えます。何故なら、入園試験の考査対策なら試験の半年前からの準備でも十分に間に合うからです。頑張って前倒ししても、発達途上の脳が働きません。入園半年前なら大多数のお子様が入試準備に耐えうるであろう脳の発達が見込まれるはずです。半年前になっても、当然に一部の例外もあります。但し、躾や社会性はそれよりもずっと前から準備する必要があります。

小学校受験も同じことが言えます。但し、準備期間は入試の1年前に当たる年中さんの秋頃が月齢に対する脳の発育具合を考えてベストです。ベストというのは概ね大多数の子供がすんなりと勉強について行けるという目安です。2番目にお勧めは年中の4月です。これもあくまで目安なので本人の脳がついて行けるのであれば、いくら早くても構わないでしょう。但し、いくら早く学んだところで、年中の秋からスタートした子供たちに、遅かれ早かれ並ばれてしまいます。

私は早期教育を完全には否定しません。早期教育教材をきっかけに親子のコミュニケーションを密にするのは有意義なことだと思います。いろいろと悩み試しながら○歳○ヶ月目にこの概念が初めて解ったなど、乳児のハイハイや、つかまり立ちと同じく、日々の脳の成長を肌で感じる良い機会にもなります。

英語の早期教育については私は否定的に考えます。そもそも英語と日本語ではロジックが違い過ぎます。その為、英語に軸足をおいて日本で生活をすることによって日本語の能力は確実に他のお子様に比べて劣ってしまうことでしょう。ちょうど3歳頃からはスポンジで水を吸い取るように日本語を吸収します。その量は膨大です。

日本語は世界で最も難解な言語の部類に入るそうです。英語は逆に最も簡単な言語の部類だそうです。俗に日常会話を習得するには英語は1年、フランス語で2年、日本語は10年も掛かると言われています。その世界有数の難解な言語を学ばなければならない幼児期に、積極的に英語を学ばせる必要性が見あたりません。思考の素である“にほんご”は人一倍しっかりと学ばせる必要があります。

エスポワールには帰国子女が少なからず在籍しています。片親が外国籍の方やインターナショナルプレスクール、親が駐在員等で外国へ行き来しているお子様も多くいらっしゃいます。英語が流暢なお子様の多くに共通しているのは、その保護者は普通の日本人以上に日本語を教えていると言うことです。外国語習得で失った日本語習得の時間を努力して埋めているそうです。

世の中には言語習得の貴重な幼児期に、英語ペラペラが格好が良いので、朝から晩まで子供を英語漬けにしている親がいると聞きます。

最後に、私が目指す教育は何かと問われれば、知識や概念も規律も社会性も大切ですが、一番は“精神年齢”を高めることだと考えます。精神年齢以外は簡単に追いつかれますが、この時期に伸ばした精神年齢は容易く追い抜くことはできません。これは大きな財産です。

昨年の卒業生で忘れられないお子様は多かったのですが、その中でも特に記憶に残っているお母様からのメールに、「国立の最終抽選から漏れて帰宅した私に息子は『お母さんも良く頑張ったよ』と励まされました」とありました。これには感動しました。

親を慰めることができる彼の精神年齢は小学生並みです。いや、小学生でも言えないでしょう。中学生でも高校生でもなかなか言えません。大学生でも、大人でも言えない人がいます。彼はきっと素晴らしい人生を歩むに違いありません。

これからも一人でも多くのお子様が、より精神年齢が高くなるように、日々努力していくつもりです。

(メルマガ担当:トモヤ)



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