<070> 小学校受験の「お話の記憶」の出題率は66%で、ペーパーの最初の問題です

以前に『お話の記憶』について記事を書きました。要約しますと、首都圏の主な私立小44校のうち30校(全体の66%)で『お話の記憶』が出題され、国立小学校でも、10校のうち7校(国立全体の70%)で出題されたと書きました。他に類を見ない高い出題率なのです。

『お話の記憶』を出題した、先ほどの私立小30校のうち25校(83%)では、ペーパーの1番最初の問題が『お話の記憶』です。また、国立小学校では、出題した7校のうち、1校を除いた6校(85%)が第1問目なのです。

簡単にまとめると、国立私立小を問わず、ペーパーの1問目は、高い頻度で『お話の記憶』が出題されます。また、『お話の記憶』は、それに関する設問がとても多いので、配点も高いです。学校にもよりますが、設問数全体の2割を占めることもあります。

幼児でもオトナでも同じですが、最初の1問目で、くじけてしまうと、「解らなかった、どうしよう」と後々の問題まで尾を引くものです。配点も大きいので、得点にも大きく影響します。

お話の記憶は、侮(あなど)ってはならないのです。

ところが残念なことに、『お話の記憶』は、出来る子は何のトレーニングを積まなくても簡単に解けます。出来ない子は、ペーパーをいくら解いても出来るようにはなりません。なぜなら、この違いは脳にあるからです。

(1)短期記憶を司る脳の部分が未発達だと、聞いた先から忘れてしまいます。
(2)脳が発達していても、覚えようと思う意識がなければ、脳は機能しません。
(3)覚えようと思う意識があっても、ストーリーを頭の中でイメージできなければ忘れます。

私は過去に何度も繰り返して書いてきましたが、お話の記憶は、絵のない本を一人で黙々と読んでいるお子さんに限って、大変よく出来るので、それを皆さんにお勧めしています。絵のない本が読めるお子さんは、頭の中でストーリーをイメージ化することが出来て、ページをめくるごとに、動画のようにイメージを繋げることが出来るのです。その為には、イメージで使う「脳内の絵」のツールを増やす必要があります。頭の中で登場させる「絵」を持ち合わせていなければ、映像化は難しいからです。絵本をたくさん読むことで、手持ちの「絵」は増えていきます。それを頭の中で、自由自在に動かすのです。

これらを全て身に付ければ、お話の記憶は得意になりますが、難しいですよね。

そもそも、上記(2)のような「聞く耳」すら持ち合わせていないお子さんも多いのです。たとえ、「聞く耳」を持っていても、お話の情報が多すぎて、理解しようしているうちに、どんどんと先へ進んでしまい、追いつかないこともあります。

学習相談でも、この手の悩みは多いので回答する私も困っていました。何か良い方法はないかと考え続けていたら、ある日パッと閃きました。私がDVDを通常ではなく1.3倍速で観ていたら、息子がじっと聞き耳を立てて、一生懸命に聞き取ろうとしていたのを見て思いついたのです。お話に興味がなかったり、「聞く耳」を持ち合わせていない子供でも、通常よりも速いスピードで読み上げたら、何を言っているのかが気になって、きっと注意深く聞くはずだと考えたのです。息子を被験者にして、1冊の本を録音した音源データをパソコンで速度を上げて聞かせたところ、DVDのときと同じように、意識の集中レベルはとても高いことが判りました。ただ、脳の疲労度も同じように高かったです。意識を集中できるようになってから、徐々にスピードを通常の速さに戻せば、きっと、研ぎ澄まされた「聞く耳」を持つようになることでしょう。それに併せて、頭の中でイメージを浮かばせて、それを自由自在に動かせるトレーニングを組み合わせたら完璧だと思っています。

※過去記事の再掲載です

エスポワール らくらくさん